新入社員のあなたが『これって、パワハラだ!』と感じたときに、確認して欲しいこと
こんにちは、ハラスメント研修専門講師の山藤祐子です。
6月に入ったあたりから、4月に入社した新入社員から相談されることが増えてきます。
その相談とは、新入社員が仕事をしている中で上司や先輩から言われることが、パワハラに該当するか、否かということです。
正直、その一部の場面ややりとりだけを聞いて、「それは、パワハラ!」と判断するのは難しいので、
今日は、「パワハラなのか」「パワハラではないのか」とモヤモヤしている新入社員のあなたに書きたいと思います。
パワハラか?パワハラではないか?
パワハラとは、パワーハラスメントの略語です。
職場において、地位や人間関係の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて行われる「嫌がらせ」のことです。
パワハラか、パワハラではないのか、を決定付けるポイントは以下の3つです。
「うちの上司がやっていることって、パワハラじゃないの?」と思って悩んでいるあなた、
まずは、上司や先輩の行為が、以下の3つのポイントに当てまるか、どうかを確認してみてください。
(1)業務の適正な範囲なのか、業務の逸脱なのか
仕事上、必要な指示命令は、当然業務の適正な範囲です。
業務の逸脱とは何を指すかと言いますと、業務には不要な指示のことです。
例えば
・休みの日に、ゴルフの送り迎えを強要する
・飲み会で、無理やり飲ませれる
(2)力関係が圧倒的にあるかどうか
厚生労働省のパワーハラスメントの定義の中にも、「地位や人間関係の優位性」という言葉がある様に、
何も言い返せない様な、力関係が存在するか否かも大事なポイントです。
例えば
・「返事はハイだ!」とそれ以上の言葉を言わせてもらえない
・言い返せない雰囲気があり、絶対服従を強いられる
(3)人格を否定するようなことを何度も言われる
出身地、生まれた家系、育った環境、卒業した学校、性格、見た目、結婚のことや、ご両親の仕事
といった、人格におけることに関して否定するような言葉を言われる。
例えば
・「バカか!!」「能無し!」などの人格そのものを罵倒する言葉
・「その程度の大学だから、しょうがないな」といった出身校を引き合いに出した言葉
これら3つのポイントがあり、それも一回だけではなく、何度も起こっているとなると、パワハラと認定される可能性は高いです。
「可能性が高い」と書いたのは、パワーハラスメントに関しては法律がないため、裁判事例を基準に検討されることが多いのです。
その上で、事実関係を明らかにしながら、調査しないと分からないことがあるからです。
パワハラではないこと
では、パワハラではないことは、どんなことかを説明したいと思います。
(1)業務上必要な指示や命令
業務を行う上で、必要な指示や命令はパワハラではありません。
例えば、
あなたにとって、進んでやりたくないような雑務を指示されれても、パワハラではありません。
「資料をコピーして」と言われても業務上必要であれば、パワハラではないということです。
(2)組織のルールに必要な叱責
業務上、必要なルールというものが、組織には必ず存在します。
例えば
遅刻をするなら、連絡をしなくてはいけません。
連絡を怠って、叱られるのは当然のことです。
(3)根拠のある妥当な評価
業務を行う上で、上司は部下を評価します。
それは、決して気分ではなく、業務上必要な仕事をやりきったかどうかで評価をするわけです。
例えば
他の人よりも、仕事が遅いと言われる可能性もあります。
他の人よりも、間違いが多いと言われることもあります。
これらについては、パワハラではありません。
業務をする上で必要な教育であり、管理職として言わなくてはならないことです。
強制はパワハラか?
ハラスメント防止研修をしていると、受講者から、こういう質問があります。
「強制したら、ダメですよね?」という質問です。
パワハラやセクハラを学べば、学ぶほど、「部下に強制してはいけない」と感じる管理職の方は少なくありません。
でも、
仕事は「強制」からスタートします。
なぜなら、「今日、何してもいいよ、好きにして!」という会社はあるでしょうか?
きっと、ないはずです。
就職するということは、「労働力」を提供し、企業から「対価」を貰うことです。
ということは、自分にとって、得意なことも、苦手なことも、引き受けるということなのです。
それでも、おかしいと思ったら
先に書きましたが、次の3つのポイントに当てはまり、どうにも出来ない時の対処法をお伝えします。
(1)業務の適正な範囲なのか、業務の逸脱なのか
(2)力関係が圧倒的にあるかどうか
(3)人格を否定するようなことを何度も言われる
以上のことが、何度も行われているようであれば、
・状況を記録する
できることなら、動画や音声記録などを、記録をするようにしてください。難しいようであれば、日時、場所、その場に居合わせた人、それぞれが言ったことをそのままノートなどに記録しましょう。
・まずは、相談をしましょう
同じ部署で話が分かる(聞いてもらえる)上司か先輩に、どういうことがあったかを相談してみましょう。
同じ部署にいないようであれば、採用を担当してくれた人事に相談してみてください。
とにかく相談をしてみてください。
会社に、必ず窓口があるはずです。
迷ったら、困ったら、まず誰かに聞いてもらうようにしてほしいと思います。
会社では難しいということでしたら、ご連絡ください。
私は、いつでもあなたの声を聴く準備があります。
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