ドラマ『ハラスメントゲーム』にみる職場で起こるハラスメントへの対応方法は?【第3話炎上!パタハラ天国】
僕は、ただ子供を無事に育てたいだけなんです。
こんにちは、ハラスメント研修専門講師の山藤祐子です。
このセリフは、テレビ東京で毎週月曜日に放映しているドラマ『ハラスメントゲーム』第3話(2018年10月29日)の中のセリフです。
これは、主人公である秋津渉(演:唐沢寿明さん)が、驚くような方法で、職場のハラスメントを次々と解決していく、まさに企業にお勤めの方に必見のドラマです。
今回は、社内でも一番忙しいと言われている商品開発部で時短勤務をしている男性社員が「パタハラに遭っている」ということからスタートします。
パタハラ・・・パタニティハラスメントの略です。
パタニティー(Paternity)は英語で“父性”を意味しており、男性が育児参加を通じて自らの父性を発揮する権利や機会を、職場の上司や同僚などが侵害する言動におよぶことを言います。
要は、育休とります、産休とります、育児のために時短勤務をすることを上司や同僚が、嫌がらせをすることです。
さっそく、第1話、第2話に引き続き、ポイントを解説していきたいと思います。
残業できないならチームの一員じゃない!
秋津は、「マルオーホールディングス」というスーパー業界老舗大手企業の社員で、
7年前にパワハラが原因で本社勤務から地方店舗へ左遷された人でした。
社長(演:滝藤賢一さん)から直々に、コンプライアンス室長に任命され、着任早々難しいハラスメント事案を次々に解決しています。
そんな秋津のもとに、「パタハラに遭っている」と、社員から相談が入ります。
相談は、商品開発部の徳永悠馬(演:斎藤工さん)から。
徳永は、夫婦共働きで、妻が一年で産休が明け、仕事をしているため、徳永が時短勤務となり、送り迎え、掃除などの家事をしていると、秋津に話します。
しかし、商品開発部は多忙を極めているため、10時ちょうどに出社し、16時ぴったりに帰宅する徳永を、上司を含めた同僚誰一人として、心良くは思ってはいません。
商品開発部の部長からは、部内全員の前で
「同じ給料をもらっているんだぞ、それでもチームの一員か」
大きな声で怒鳴られてしまう一幕もあり・・・
徳永は、
「僕は、ただ子供を無事に育てたいだけなんです」
と自分が子供を育てるために時短を取っているのだと、秋津に切なそうに伝えるのでした。
そこで、秋津は商品開発部の部長や、一緒に働く同僚に徳永をどう思っているのかを調査します。
秋津に質問された商品開発部長は、
「パタハラなんて、とんでもない。新製品発表までの一か月だけ時間を融通して欲しいと頼んだだけです」と言うのですが・・・
実は、この部長はかなり古い考え方の持ち主で、父親が時短をとることに反対のようなのです。
というのも、入社時期が秋津と同じだと分かると、「あなたも分かるでしょう」ともちかけ、
「我々の世代は、女房に理解がないと言われながらも働いてきました」
と自分たちは、家族のために必死で働き、子育ては出来なかったというのです。
そうして、
「彼を他の部署にやって、こっちに素直に働いてくれるスタッフをよこしてほしい」
と秋津に頼むのでした。
また、同僚たちも、自分だって子育てしながら働いているのに、イクメンだけが優遇されるのがおかしいという声まで上がり、このイクメン時短制度が、社内でいびつな状態で進んでいることが分かります。
というのも、社長は秋津からイクメン制度がうまくいっていないことを指摘されたときに、
「育休制度の問題は今、最も注目を浴びている。企業イメージを挙げるには、最も有効なんだよ。」
と、企業イメージアップのためにイクメン制度を導入したと話していました。
そういう経緯もあり、商品開発部では時短勤務を使って働く徳永をかばう人は誰もいなくなっていました。
秋津は、部長の話のこともあり、社内では徳永が話しにくいのではと、立場を配慮し徳永の自宅に訪ねることにしました。
徳永の自宅、そこで秋津が見たものは・・・
秋津が、徳永の自宅を訪ねると、徳永は少し気まずそうに迎えてくれました。
秋津から、異動の話について切り出すと、徳永は「働けるならどこでも」と前向きな返答です。
部屋の中は子供のもので溢れていますが、その隅に「サンプル品」と書いた育児用品の段ボールが山積みになっていました。
さらに、パソコンの画面は何かを編集している様子があり、そのパソコンの横には、動画を撮るためのカメラが備え付けられています。
不信に思っている矢先、寝ていた徳永の子供が泣き出しました。
ところが、徳永は「どうした?」と子供に声をかけるものの、抱き上げることすらしません。
その様子をつぶさに観察し、秋津は徳永が本当の「イクメン」ではないことを確信しました。
家を出た秋津は、徳永を調べたところ、実は動画サイトを運営していることが分かります。
なんと、徳永はブラックイクメン・・・育休制度を悪用しているイクメンだったのです!!!
それを知った秋津は、どうするのか?気になる続きは、どうぞドラマ本編をご覧ください。
パタハラは、なぜ起きたのか?
さて、ここではなぜ商品開発部でパタハラが起きたのかを考えます。
まず、今回の商品開発部の部長の考え方と、指導方法に問題があります。
(1)自分自身が子育てに参加できなかったことを口実に、イクメン時短に関して理解がないこと
(2)新商品発表前の一か月だけ残業してほしい気持ちを、部内全体の前で叫ぶように伝えたうえに、
「それでもチームの一員か!!!」と全員の前で罵倒していること
(3)徳永以外にも子育てをしている社員がいるにも関わらず、就業時間を配慮していないこと
この背景には、前述のセリフの中にある「素直に働いてくれるスタッフ」という考え方が根底にあると考えます。
社員であれば、上司に対して、言われるままに働いて当たり前だという考え方です。
こういう考え方を持っていると、今の多様な働き方を受け入れにくくなります。
では、どうすれば良かったのか。
まず、徳永にはどういう働き方を望むのかを確認する時間を設け、話を聞くこと。
そして、部として望むことを伝えて、忙しいときには時間の融通が利くのかどうかを確認しておくこと。
これは、徳永に限ったことではなく、社員一人ひとりの働く状況を「部長」であれば、しっかりと把握する必要があるわけです。
これからの時代は、育児だけではなく、介護をしながら働く人も増えていきます。
また、二人に一人が癌になるという統計から、病と闘いながら働く人も増えるでしょう。
社員だからといって、全ての時間を会社に預けられる時代ではないということです。
「24時間働けますか」の世代を生きた私たち「昭和上司」は、そろそろ頭を切り替えて行かねばいけないのです。
男性社員と育休
イクメンとは、育児をする男性(メンズ)のことを指すのですが、最近は育児を通して自己成長をするという意味合いも含まれているそうです。
この言葉に対して、個人的にはいろいろと思うことはあるのですが、子育てを男性が遠慮することなく参加ができることはとても素敵なことだと思っています。
というのも、10年以上前に、子供が生まれた男性の同僚が私に言った言葉を思い出すからです。
『俺だって、育休はとりたいよ。でも、昇進を考えると怖くてできない』
これが多くの男性会社員の声なのかもしれません。
実際に、商品開発部の部長もこんなセリフを言っています。
「家族のために働いてきたのに、敵みたいに言われてさみしいったらありゃしない」
企業戦士と言われて働いたものの、家族から疎まれる。
こんな悲しいお父さんを、もう作っちゃいけないと思います。
最後に
今回は、斎藤工さんがゲスト出演者としてイクメンを演じていらっしゃいましたが、色気を封印した素晴らしいパパでした!
そして、今回も秋津の観察眼が冴えわたりました!!
ますます、面白い『ハラスメントゲーム』。
毎回、秋津が必ず言う決めセリフ、「おまえはクズ中のクズだ!」も、ハラスメントがテーマにも関わらず、この言葉を言っちゃうあたりも注目です。
最後に、ドラマ「ハラスメントゲーム」について、紹介します。
テレビ東京で毎週月曜夜10時~放映されています。
http://www.tv-tokyo.co.jp/harassmentgame/
第4話 「炎上!嫉妬でモラハラ!」ゲスト出演者:黒谷友香さん、山中崇さん
第5話 「炎上!愛憎の社内恋愛」ゲスト出演者:八島智人さん、岡本玲さん
動画配信サービスParaviでも、見ることができます。
https://www.paravi.jp/title/32514ぜひ、ご覧くださいませ。
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