【ハラスメント防止】これやめて!会社の飲み会でやりがちな行動9点
こんにちは、ハラスメント対策専門家の山藤祐子です。
忘年会や新年会も含めて、会社の飲み会でやってしまいがちな行動9点についてお話しします。
ハラスメント防止研修で参加者の方がポロリと言った言葉があります。
それは「飲み会って、何か気が緩みますよね」です。
確かに、飲み会は職場から離れていますし、お酒も入っています。
席も近く、お互いの距離がぐっと縮まったように感じるのも自然です。
だからつい、「今日は無礼講で!」と言いたくなる気持ちも分かります。
ただ、会社の飲み会は、職場とみなされることを、忘れてはいけません。
つまり、行き過ぎてしまえばハラスメントに発展する可能性があるということです。

飲み会も職場とみなされる理由とは?
職場とは、事業主が雇用する従業員が業務を遂行する場所のことを指しますが、従業員が通常就業している場所以外であっても、従業員が業務を遂行する場所であれば、「職場」ということになります。
たとえば、取引先の事務所、接待で訪れた飲食店、出張先、お客様の自宅、取材先なども職場です。
また、アフターファイブの飲み会であっても、実質的に職場の延長線上での集まりであれば、職場に該当します。
実際に、2次会まで職場とみなした判例もあります。
職務との関連性や参加が強制的か任意だったかなどが考慮されるからです。
先に書いた2次会まで職場としてみなした判例では、男性の上司が新人の女子社員に対して、断れないことを前提に強制的に参加を促したことで職場としてみなされました。
つまり、飲み会だから仕事とは切り離せる、ハラスメントも関係ないというわけではないのです。
ここを誤解すると、意図せずトラブルが生まれてしまうことがあります。
では、具体的に気をつけたいことをみていきましょう。
職場の飲み会で避けたい行動9点
いずれも行き過ぎると、ハラスメントに該当する可能性が高くなります。
無理やり飲ませる
アルコールハラスメントという言葉がありますが、そもそも飲酒は強制されるものではありません。
個々の体質によっては命に関わることもあるため、無理やり飲ませる行為は避けるべき。
今どき、「俺の酒が飲めないのか!」という上司はいないと思うのですが、最近の研修で、「乾杯はビールと決まっているので従うべき」だと主張する方がいました。
どの飲み物で乾杯しても問題はありません。
理由のないこだわりを押し付けることは、相手の負担につながります。

軽い気持ちでのボディタッチ
飲み会の席はオフィスと違って、お互いの距離が近いため、無意識に手や腕が触れることはあるでしょう。
ただ、無意識とはいえ、触れて許されるのは手から肘までくらいです。
肩や腰に触れるなど、相手が抵抗を感じやすい接触になると、不快感につながるおそれがあります。
そのままエスカレートすれば、セクハラに該当しかねませんので、やめましょう。
これは性別に関係ありません。
女性同士、男性同士であっても不必要に近づきすぎない意識が大切だと思います。
パーソナルスペースは、友人関係なら45~120センチ。
仕事相手なら120~360センチと言われていますので、距離感の参考にしてください。

下ネタ
飲み会の鉄板ネタと認識している人もいるようですが、会社の飲み会はあくまで職場ですので、下ネタは必要ありません。
「男性同士だからいいよね」と言う人もいますが、男性だから下ネタが好きとは限りませんので、その思い込みは捨てましょう。
話すのは仲の良い友人のときだけにしてくださいね。
恋愛経験を聞く
実際に私自身も聞かれたことがありますが、異性経験について聞くのも、職場と考えればふさわしくありません。
男性同士、女性同士だとしても同じことです。
それを聞いたところで、職場のチームワークは良くなりません。
実際の事例として、社内恋愛をしていた男性部下がしばらくして女性部下にふられたことを必ず飲み会で持ち出して、みんなで笑いものにするという話がありました。
上司としては、その場を盛り上げたつもりのようですが、言われた男性部下も女性部下も笑いものになって、楽しいはずがありません。
お酌の強要
「女性だから上司にお酌をしなさい」というのは、性役割の押し付けになるのでセクハラに該当することがあります。
グラスが空いてお酌をするのは、誰であってもできることです。
食事の取り分けなども同じこと。
女性に限らず、気が付いた人がすればいいものです。
「飲み会では、男性と男性の間に女性を座らせるようにしている」という話を聞いたことがありますが、思わず、「何のためにですか?」と質問してしまいました。
理由は、「上司が喜ぶから」だったのですが、それこそ言語道断です。

説教
飲み会の席で、上司が酔ったまま長時間説教を始めてしまうケースがあります。
覚えたてのコーチングを披露したくなる上司もいらっしゃいますが、飲み会は職場とはいえ、評価や指導の場ではありません。
場の空気が重たくなり、受け手が気まずく感じることも多いものです。
楽しいはずの時間を窮屈に感じれば、働くモチベーションが下がることにもつながります。

部下から上司への質問攻め
部下が上司に対し、プライベートを深掘りしてしまう場面もあります。
「上司だから答えるのが当然」と思われる方もいますが、家庭の事情や私生活は、誰にとっても大切な領域です。
上司とのコミュニケーションだからなんでも聞いていい、というわけではありません。

延々と自分の彼氏相談
仲良くなるための話題だと思って、自分の恋愛相談を長時間続けてしまうケースもあります。
圧倒的に、女性に多いです。
ただ、上司の立場では、どこまで踏み込んで良いのか分からず、返答に困ることが多いように感じます。
特に、性的な話題に近づくと誤解も生じやすいため、行き過ぎればセクハラに該当する危険も。
職場の飲み会では避けるべき話題ではないでしょうか。
誰かをネタに盛り上がる「いじり」
飲み会では、その場が盛り上がるからという理由で、誰かの失敗談をいじって笑いに変えることがあります。
特に、昇進した人の過去の失敗談を「こいつは、昔、こんなことをやらかしたんだぞ」などと後輩の前で話すような行為は、本人が立場上つらく感じる場面もあるでしょう。
軽い気持ちのいじりであっても、受け手の感じ方はそれぞれです。
その温度差が、のちにトラブルの火種になることがあります。
ハラスメントは、そうした小さなことが積もり積もっていくこともあるため、自分がされてイヤなことはしないのが賢明です。
飲み会で話しやすい話題とは?
ここまでお伝えした内容を、判例を出しながら研修で説明すると、「何を話せばいいのかわからない」と言われることが結構あります。
そこで、どんな会話をすれば良いかを挙げたいと思います。
- 趣味、スポーツ、人生に対しての考え方など職場で見せない一面
- 自分が今後挑戦したいと思っていること
- 仕事で悩んでいること、アドバイスが欲しいこと
飲み会は、普段職場で面と向かって話せないことや、上司の知見を聞くチャンスにしてほしいのです。
部下や上司の知らない一面がわかると、職場でもコミュニケーションがとりやすくなったり、自分のやりたいことやこれからのことを上司にアピールすることもできます。
ただ飲むだけ、騒ぐだけでは、せっかくの時間もお金ももったいないです。
これからのビジョンや楽しい会話を通じて、「明日から、またがんばろう!」と思えるような飲み会にしてほしいと思います。

まとめ
最後に、誤解のない様に付け加えますが、以上は、友だち同士や、仲の良い同僚と飲みに行くときのことではありません。
あくまで職場とみなされるような、職場の立場を持ち込んだ飲み会のことです。
距離感や話題選びに少し気を配っていただくだけで、不要なトラブルを防ぎやすくなると感じています。
大切な仲間だからこそ、「親しき仲にも礼儀あり」
この気持ちを持つことが、職場の一員として大切です。
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