「ちゃん付け」がセクハラ?職場で「さん付け」が求められる理由
こんにちは、ハラスメント研修専門講師の山藤祐子です。
2025年10月24日放送のフジテレビ系ニュース番組『newsイット!』にコメント出演し、職場での「ちゃん付け」がセクハラに認定された件について意見を述べる機会がありました。
佐川急便の営業所で働く40代女性が、同僚の男性から「○○ちゃん」と日常的に呼ばれ、「かわいい」「体型いいよね」などの発言など、セクハラ被害を受けたとして、2023年に東京地裁に提訴したものです。
そして、10月23日の判決で東京地裁は、一連の発言を含めてセクハラとして認定し、男性に22万円の賠償を命じました。
ただし、「ちゃん付け」の部分だけを切り取って、セクハラと認定されたわけではありません。
『newsイット!』内で私はこうコメントしています。

◯◯ちゃんと呼ぶことで、距離を縮めようという気持ちがもしかしたらあるのかもしれません。

言葉の使い方や相手に対し聞く姿勢で、相手に敬意を示すことが職場では必要だと思います。
ここで重要なのは、相手の男性にとって軽い冗談や親しみのつもりでも、繰り返され、業務に支障が出るほどまでに追い詰められていた点です。
女性が嫌がっているにもかかわらず繰り返し、性的な言動があり、結果的に就業環境が害されたことがあったから、セクハラと認定されたのだと考えられます。
「ちゃん付け」は、親しみをもった呼び方だという意見もありますが、職場にふさわしいとは言えません。
では、「くん付け」はどうなのかと、たずねられ、私は次のように答えています。

「くん付け」の呼び方は、男の子を呼ぶ言い方として、世間一般には認知されていますが
相手の能力を認めている呼び方ではないと思うので

年上にも年下にも使える呼び方として◯◯さんと呼ぶのが、誰に対しても傷つけず違和感のない呼び方だと思います。
以上のように「ちゃん」も「くん」も、職場に適した呼び方とは言えませんが、「さん付け」は、年齢・立場・性別に関係なく使える中立的で安全な呼称です。
誰に対しても同じ距離感で接することができ、結果的に職場の信頼関係を守ることができます。
一方は親しみ、一方は不快。
このような行き違いを生んでまでも、ちゃん付けで呼ぶ理由は、ないと思います。
「ちゃん」は子ども言葉、「さん」は敬意の言葉
「ちゃん」は「さん」の幼児語であり、もともと家庭内や親しい間柄で使う言葉です。
そのため職場で使うと、相手によっては「軽く扱われている」と感じることもあります。
一方、「さん」は、相手への敬意を自然に表す言葉です。
「部下を、さん付けで呼ぶようにしたら、会話が穏やかになった」という声も、よく聞きます。

呼び方を変えるだけで、職場の意識が変わる
ハラスメント防止の第一歩は、制度ではなく日常の言葉づかいの見直しです。
「呼び方」には、相手をどう見ているか?が自然と映し出されます。
「おまえ」「あいつ」「○○ちゃん」ではなく、「○○さん」と呼ぶ。
たったそれだけで、職場の空気が変わります。
呼ぶ側は、丁寧な言葉を使うことで冷静になれますし、呼ばれる側は不快になることなく、安心して働けます。

その積み重ねが、ハラスメントを生まない文化を育てていくはずです。
とくにいまどきの若い社員は、親しみやすさよりも、適切な距離感を求めている傾向にあります。
「さん付け」の習慣を根づかせることが、信頼と敬意のある職場づくりにつながるでしょう。
「さん付け」に抵抗のある管理職の方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
【管理職向け】職場の空気が一変!パワハラを防いで信頼関係を築くたった一つの方法とは?
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