職場全員で学ぶからこそ意味がある ― ハラスメント防止研修の効果

「ハラスメント」という言葉は、今や日常的に耳にするようになりました。

しかし実際の現場では次のような不安や戸惑いがつきまといます。

どこまでがセーフで、どこからがアウトなのか線引ができずに不安

被害者にも、加害者にもなるかもしれない

何を言ってもハラスメントと受け取られそうで怖い

さらに、こうした不安は、年代や立場ことに異なるものです。

そこで、建設業のある企業様で実施したハラスメント研修後のご感想から浮かび上がった点について解説いたします。

社名:T社 S支店
業種:国内総合建設業
受講対象:全社員1700名のうち、S支店に在籍する47名
研修方式:集合研修+オンライン研修のハイブリッド(一部アーカイブで受講)
所要時間:120分
研修内容:ハラスメント防止研修

年代ごとに刺さったポイントの違い

20代前半まで:自分を守る・加害者にならない意識

若手層は、これまで「自分は被害者になる」という視点しか持っていなかったケースが多く、研修を通じて「誰もが行為者になり得る」との気づきが印象に残ったようです。

ハラスメントについて何となくしか知らなかったが、しないための対策や、受けたときの対応を学べて大変ためになった。

自分についても常に加害者になり得る意識をもって日々の業務に努めたいと思います。

セカンドハラスメントは絶対にあってはならないと強く思いました。

20代後半〜30代:指導とハラスメントの線引き

部下を持ち始める年代になると、「どこまでが指導で、どこからがハラスメントか」という線引きに関心が集まります。

資料を読んで、単純に自分が嫌だと感じたからといってすべてがハラスメントにならないことを知った。逆に過剰に主張しすぎると、自分が加害者になることも学んだ。

パワーハラスメントが起きる大きな原因はコミュニケーション不足であると思うので、積極的にコミュニケーションを取り合いながら現場づくりを進めていきたい。

叱責する際も周囲に人が多いときは控えて、人がいないところに移動するなど配慮する必要があると感じた。

40代以上:組織づくり・教育責任

管理職層では、組織運営や教育責任への視点が強くあらわれています。

業務に真剣になれば、自分の意図と反した方向になった場合は、人はイラっと感じます。6秒間冷静になって指導・助言をしたいと思います。

部下の指導においては、感情のまま自分の気持ちを吐き出すのではなく、具体的に改善方法を提示する必要がある。

全社員で同じ研修を受けたことで、『あの時の研修でどう言っていたか』と確認し合えることが重要だと感じた。

講師としての視点

実は、年代によってこうした受け止め方の違いがあることは、あらかじめ想定していました。

むしろ、違いがあることが当然です。

研修は年代や立場に関係なく、全員一斉に行いますが、説明の中で「指導する側」「指導を受ける側」それぞれの立場に応じた視点を伝えるようにしています。

だからこそ、同じ内容を聞いても年代によって自然と刺さる部分が異なるのです。

いまは指導を受ける立場でも、いずれは指導する側になりますから

部下は上司の考えを知り、上司もまた部下の捉え方を知ることは、必ず双方の役に立ちます。

これは職場全員で学ぶ研修ならではの効果です。

「管理職は、加害者側の内容だけ聞けばいい」という誤解は、持ってほしくありません。

誰もが、被害者・加害者、双方の立場の話を聞くことは、非常に重要といえるでしょう。

企業担当者の声

今回ご依頼いただいた企業の総務責任者様からは、次のようなご感想をいただきました。

ここ数年、全社でeラーニングやWEB研修等でハラスメント防止に取り組んでいます。

ハラスメントの定義や「ハラスメントはダメな事」という意識は浸透してきていると感じますが、一定の場面では問題のある場面を目にすることもまだあり、それを肯定、評価する一部の社員も存在します。

このようなことから教育の継続が必要だと思いました。

弊社で実施するハラスメント防止研修 5つの特徴

研修は常に 「立場」「基準」「行動」 を意識して設計しています。

そのうえで、実際には次の5つの特徴があります。

特徴1 立場に応じて刺さる工夫

  • 指導する側・される側の両方に向けて、それぞれが「自分事」として考えられるように設計
  • 場合によっては「指導する側」「指導される側」に分けた資料を用意

特徴2 加害者・被害者両面を意識できる

  • 若手は「自分は被害者になる」と考えがちだが、研修を通じて「誰もが行為者になり得る」と気づく
  • 中堅は「指導とハラスメントの線引き」を意識
  • 管理職は「組織づくり・教育責任」に視点を移す

特徴3 全員が同じ基準を持てる

  • 職場全員で同じ研修を受けるため、判断軸が揃い、上司と部下の認識のズレが出にくい
  • 「研修でこう言っていたよね」と共通言語で確認し合える

特徴4 知識を具体行動につなげる

  • 「記録を残す」「証拠を残す(メール・録音・録画)」など、すぐに役立つ行動を提示
  • 「怒ると叱るの違い」「コミュニケーション不足が原因」など、現場直結の気づきを重視

特徴5 柔軟な実施スタイル

  • 対面研修を中心にしつつ、オンライン参加・録画視聴も可能
  • 全員が受講できるよう、状況に合わせた運営を実現

職場全員でハラスメント防止研修を受ける意義

わざわざ年代別や立場に分けた研修を実施しなくても、同じ研修を全員で受けることで次のメリットがあります。

  • 判断基準が揃い、上司と部下の認識のズレが出にくい
  • 研修後、ハラスメント防止に対し共通言語で確認できる
  • 複数回に分けることなく、1回で済む効率性とタイムパフォーマンスの良さ

まとめ

ハラスメント防止は、一部の社員だけの問題ではありません。

全員が同じ知識と意識を共有することが、働きやすい職場をつくる第一歩です。

そのためには「職場全員でハラスメント研修を受けること」を、強くおすすめいたします。

職場の誰もが安心して働ける環境づくりは、企業の信頼を高める大切な投資です。

ハラスメント防止研修は、ぜひ、弊社にご依頼ください。

業種、人数問わず、フレキシブルな研修をご提供いたします。

投稿者プロフィール

山藤祐子
山藤祐子ハラスメント対策専門家
ハラスメント研修専門講師
国家資格キャリアコンサルタント

ハラスメントとは、あらゆる分野における「嫌がらせ」「迷惑行為」のことです。

企業においてハラスメントを防止するための研修を行っています。

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