「これくらい大丈夫だよね?」と思っている上司へ~そのLINE、セクハラです!~
こんにちは、ハラスメント対策専門家 山藤祐子です。
2020年3月。またまた、呆れたセクハラのニュースが飛び込んできました。
そのニュースとは、服飾ブランド「アースミュージック&エコロジー」などを展開する株式会社ストライプインターナショナルの創業社長による、同社社員へのセクハラ行為です。
この創業者である石川康晴氏は、あろうことか男女の人権尊重や政策立案への女性の参加を目的とした内閣府の男女共同参画会議の議員を務めていました。
さらに、ストライプインターナショナル社は「女性が働きやすい会社」としてアピールしていただけに、働いている方々もお洋服を買っていたお客様もショックが大きいことでしょう。
今ネット上には、石川氏が女性社員に送ったであろうLINEの画像が流出しています。
その画像が本物かどうかの真偽は別として、ネットで流れているLINEの画像、明らかに石川氏が全く悪気なく、自分の感情を垂れ流しにしているものでした。
実は、最近、上司が部下に「悪気なく」送るLINEをどうすればいいか?という相談が増えてきました。
ということで、今日はどんなLINEがセクハラとなる可能性があるか、
そして、そのLINEが、なぜセクハラと感じるのかを解説したいと思います。
文字だけでもセクハラになるの?
研修などで、「LINEやメールでも、内容によってセクハラになりますよ!」と説明すると、
「どうして文字だけでセクハラになるのか?」といった質問をされることがあります。
改めて、ここでセクハラの定義をご説明します。
セクハラとはセクシュアル・ハラスメント(sexual harassment)の略で、性的な嫌がらせをすることです。
性的な意味を持って体を触るなどの身体的な接触もあれば、言葉によるものも含まれます。
言葉によるセクハラとは、みだらな誘いをしたり、性的な言葉を発することです。
また、みだらな誘いを断ることで、断った人が仕事に支障が出ることや、脅されるなども含まれます。
だから、LINEの内容によっては、セクハラに該当するということです。
どんなLINEの内容がセクハラに該当するのか?
では、具体的にどんな内容がセクハラに該当するのか、またどうして該当するのかを受け取った人の気持ちと併せて解説したいと思います。
(1)男性上司からの女性部下へ「その洋服、足がきれいに見えて可愛いね」と朝からLINE。
男性上司の気持ち:ほめ言葉のつもり、女性はきっと喜ぶはず。
女性部下の気持ち:足がきれいとか、気持ち悪いので言わないで欲しい。
セクハラに該当するか:セクハラと言われても仕方ない事例です。足がきれいかどうかは、仕事に関係が無いからです。
(2)男性上司から女性部下へ「朝からギラギラしてるね、彼氏とうまく行ってるの?」と朝からLINE
男性上司の気持ち:部下と仲良くなるための、コミュニケーションの一環のつもり。
女性部下の気持ち:気持ち悪いので、彼氏の話とかしないで欲しい。
セクハラに該当するか:セクハラと言われても仕方のない事例です。彼氏の話は仕事に全く関係が無い上に、男性上司と彼氏の話をしたい女性部下は、ほぼいないでしょう。
(3)男性上司から女性部下へ「今日、仕事の打ち合わせかねて〇〇(居酒屋)で20時ね。みんなに内緒ね」と夕方LINE
男性上司の気持ち:話したいことがあるときは飲みながらが一番だ、別に問題ないだろう。
女性部下の気持ち:どういうこと?これって命令?予定あるのに、断ったらどうなるんだろう。内緒ってなに?・・・不安だ。
セクハラに該当するか:セクハラ事例です。仕事をする上で、二人きりで飲みに行く必要性は全くありませんし、相手の事情を聞かずに一方的に約束を決めるのは、職権乱用と言われても仕方がありません。
(4)男性上司から女性部下へ「お風呂入った?一人暮らしは寂しくない?」と夜中にLINE
男性上司の気持ち:初めての独り暮らしで寂しいから、気遣ってあげなきゃ。
女性部下の気持ち:お風呂とか聞かれるだけで気持ち悪いです。プライベートの時間までLINEを送ってくるのは本当にやめてほしい。
セクハラに該当するか:セクハラと言われても仕方がない事例です。仕事とプライベートを、しっかりと切り分けて考えましょう。夜中のメール、LINEはよほどの急務が無い限り不要です。
いかがでしょうか。
LINEをする側と、LINEを貰う側の気持ちが違うことがお分かりいただけると思います。
なぜ、LINEを使ってセクハラが起こってしまうのか?
LINEでセクハラめいた内容を送る人は、セクハラをしているという自覚が足りません。
「これくらいは大丈夫」
「触ってないし、LINEだから平気」
「コミュニケーションをとってるだけ」
という、誤解、勘違いから起こります。
特に、LINEの性質上、個人のスマホ同士で行う場合が多く、一対一でやりとりをするため、周りは気づくことができません。
そのため、セクハラめいたLINEを受け取った部下は、どうしていいか分からず、悶々と悩み続けることになります。
これまで、私が相談に乗ってきた事案の中には、上司からのLINEを介して、「二人っきりになりたい」という誘いを何年も受け続けたということもありました。
LINEを貰った側は黙っているわけではなく、「こういう連絡はしないで欲しい」「困ります」と苦情を訴えています。
ところが、何度も断っているにもかかわらず、セクハラ上司は、なかなか引き下がらないのです。
「イヤって言いながら、本当は好きなはず」
「だって、仕事を頑張るのは、自分に惚れているからだよね」
と、これまた上司だけの頭の中で作り上げられた不思議な妄想によって、暴走していきます。
その結果、先に書いていたように、部下は何度も断っているにもかかわらず、「何年も」上司からの誘いが続くことになるのです。
こんな状態、苦しいと思いませんか?
一生懸命仕事をしたいと思っているのに、ビジネスパーソンとして見られる前に女性の部分をフォーカスされるなんて。
断っても断って断っても、全く好意をもたない人から、誘われ続けるなんて。
きっと、仕事に行くのが億劫になってくるでしょうし、やる気も失っていくでしょう。
たかがLINE、されどLINEです。
ご自身が送ったLINEの内容で、相手を苦しませていないか、その想像力をもつことが大切です。
LINEを使ってセクハラをしないために、上司が気を付けるべきこと
まずは、自分のLINEの履歴を確認いただき、部下に対して仕事以外の内容を送っていないかを確認しましょう。
上司の方々は、部下にLINEを送るときに、その内容がご自身のパートナーや家族が見ても問題ない内容か?と自問してみてほしいのです。
誰が見ても全く問題ないか、
誰が読んでも誤解のない内容なのか、
そう考えるだけで、理性が働き、セクハラめいた内容を送ることは無くなります。
最後に、気を付けて欲しいこととして、
対象者は、社員、派遣社員、パート、アルバイト、パートナー企業の社員、取引先の社員、インターンシップ、就活生です。
「うちの社員じゃないから大丈夫」なんて、ことはありませんので、お気を付けくださいね。
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